SEOUL · INSADONG
耕仁美術館
路地ひとつ奥の庭と、戸を開けてはじめて見える庭園
この前「先に行こう」と言った場所です。仁寺洞キルから路地をひとつ入るだけで美術館で、入場料がありません。

行き方
出口番号は耕仁美術館の案内によるもので、距離・時間は地図の経路計算値です。
一回目でマヤはサムジギルの前でルルに「耕仁美術館に先に行こう」と言い、その日は庭まで行って四段落で出てきました。二回目はサムジギルを上りきりました。今日はその「先に行こう」の場所へ戻ります。今回はマヤひとりです。ルルには別の予定があり、マヤはこの場所をひとりで見たかったのです。
耕仁美術館は仁寺洞キルから路地をひとつ入ったところにあります。朝10時から夕方6時まで開いていて、入場料はありません。火曜日は展示を下ろして次の展示を準備する日なので、マヤは火曜日を避けて平日の午後を選びました。美術館の中の伝統茶院は夜10時50分まで開いています。だから庭は昼に、茶院は日が傾いてから見てもいいのです。
今日の問いはこれです。画面で見た韓屋の茶房は、いつも戸が開いたままでした。部屋の中から撮った場面の先にはいつも庭園があり、戸を開ける場面はありませんでした。実際には、誰がその戸を開けるのか。そして大通りから数歩入っただけなのに、入場料なしで庭があるというのはどんな感じなのか。
仁寺洞10キルで — チケットなしで入る庭
耕仁美術館は1983年12月6日に開館しました。約550坪の敷地に展示館5つ(第1・2・3・5・6)とアトリエ、屋外展示場と庭園、伝統茶院があり、庭園の間には彫刻やインスタレーション作品が置かれています(耕仁美術館の案内)。
アングク駅の6番出口を出て仁寺洞キルを下り、右の路地へ折れます。仁寺洞10キル。マヤには、大通りの音が路地ひとつで半分ほどに減ったように感じられます。一回目でマヤは「大通りと庭は同じ仁寺洞でも、目の留まる高さが変わる」と書きました。今日はその高さが変わる地点がどこなのか、歩きながら確かめます。路地に入る瞬間です。 地図で探す

案内には入場無料とあり、門を抜けるとすぐ庭です。マヤは歩みをゆるめます。マヤが見慣れてきた画面の中の美術館は、チケットを買って入るところでした。ここでは路地から庭へ歩いて入ることが入場です。

美術館は1983年12月に開館しました。案内によれば約550坪の敷地に展示館が五つ、アトリエがひとつ、屋外展示場と庭園、そして伝統茶院があります。マヤは数字より配置を見ます。マヤの目には、展示館が庭を囲み、その間々に庭園が続いて見えます。建物の中に入らなくても見るものがある美術館。
庭に立って、まずひと回り見回します。庭園の間に彫刻やインスタレーション作品が置かれていると案内は書いています。作品はその日掛かっているものをその日見るものですし、美術館は作家の同意なしに作品を撮らないよう案内しています。マヤはカメラを庭園の方だけに向けます。

韓屋展示館の前で — 移っていった家と、建て直した家
第3展示館は韓屋です。もともとその場所にあった韓屋は朴泳孝の邸宅だった建物で、美術館がソウル市に寄贈して1996年に南山コル韓屋村へ移築され、現在の建物はその後に建て直したものです(耕仁美術館の案内)。
庭の片側に韓屋があります。第3展示館です。美術館の案内は、この場所の来歴をひとつの段落に書いています。もともとここにあった韓屋は朴泳孝という人の邸宅だった建物で、美術館がその建物をソウル市に寄贈し、1996年に南山コル韓屋村へ移しました。いま立っている韓屋は、そのあとに建て直したものです。ただ、韓国観光公社の観光情報は、南山コルへ移ったその家を「寛勲洞閔氏家屋」、つまり閔泳徽の一族が住んだ家として紹介し、耕仁美術館が所有していた1995〜1998年に母屋の一部と門間棟が移築・復元されたと記しています。朴泳孝の名は、その家の旧称として括弧の中に残るだけです。 地図で探す

マヤはその段落を二度読みます。「つまりこの家は、もとの家じゃないんだ。」もとの家は南山のふもとへ行き、ここには同じ場所に建て直した家が立っています。画面の中で韓屋はいつも「古い家」として出てきます。この韓屋は場所が古く、家はそれより若い。マヤはこの違いが好きです。初めて訪れる人が画面と実際のあいだでいちばんよく出会う種類の違いです。
軒先に風鈴が下がっています。案内は茶院を説明しながら「軒先のほのかな風鈴の音」と書いています。風のある日かどうかは、その日が決めます。マヤは音を待たずに軒を見上げます。画面の中で風鈴はいつも音が先でしたが、実際には形が先に見えます。

韓屋の前から庭を振り返ります。大通りから路地をひとつ、路地から門をひとつ。その二つを抜けるとこの庭です。一回目に「目の留まる高さが変わる」と書いたのがどういう意味だったのか、いま分かります。大通りでは看板を見て、ここでは軒と石と木を見るのです。

伝統茶院で — 戸を開けてはじめて見える庭園
伝統茶院は韓屋にあり、15種の韓国伝統茶を出します。引き戸を開けると縁側(トェンマル)と庭がすぐ目の前に見えます。営業10:00〜22:50(耕仁美術館の案内、2026年9月確認)。
伝統茶院は韓屋にあります。案内によれば15種類の伝統茶を出し、引き戸を開けると縁側とともに庭園がすぐ目の前に見えます。マヤが今日確かめに来たのは、その文の後半です。「戸を開けると。」 地図で探す

マヤは障子と座敷の部屋の奥の席に座り、閉まった戸と向き合います。画面の中でこの場面は、いつも戸が開いたまま始まりました。カメラは部屋の中から庭園へ向いていて、そのあいだに戸はありませんでした。閉まった戸は、紙の向こうの明るさだけを見せています。
戸を開けます。片手で引き戸を横へ滑らせると縁側が先に現れ、その向こうに庭園があります。案内に書いてあるとおりです。マヤは戸を開けたまま、しばらくそのままでいます。画面の場面はここから始まっていました。その前に「戸を開ける人」がいたことを、画面は切り落としていたのです。今日はマヤがその人です。

メニューを読みます。15の名前を最後まで読みます。マヤが今日確かめに来たのはお茶ではなく戸でした。案内には茶院に伝統音楽が流れているとも書いてあります。その日の音はその日のものです。

敷居の内側と縁側の側から、順に庭園を眺めます。部屋の中から庭園を見るのと、縁側から見るのとは、一歩の差なのに違います。部屋の中では戸の枠が額縁になり、縁側では額縁がなくなります。画面はいつも額縁の側でした。マヤは両方やってみてから、額縁がなぜ画面に合うのかが分かります。
ノートの代わりに携帯電話のメモを開きます。書くのは一行です。「戸は自分で開ける。」
また路地へ — 6時と10時50分
耕仁美術館・ソウル鍾路区仁寺洞10キル11-4。美術館は10:00〜18:00(週末も開館、火曜日は展示の入れ替え日で、新しい展示は水曜日に始まります)、無料、元日・旧正月・秋夕は休館。伝統茶院は10:00〜22:50。展示作品の撮影には作家の同意が必要です(耕仁美術館の案内、2026年9月確認)。
展示館は夕方6時に閉まり、茶院は夜10時50分まで開いています。マヤは時計を見ます。展示館が閉まったあとも茶院は開いているので、庭を昼に見て茶院に夕方来る順番でもいい。今日は逆にしました。庭を先に、茶院をあとに、そしてまだ昼です。 地図で探す
引き戸を閉めて出ます。マヤには、開けるときより閉めるときのほうが慎重になるように感じられます。画面では誰も戸を閉めませんでした。場面が終わると、庭園も一緒に終わりました。実際には戸を閉めてはじめて、部屋が部屋に戻ります。

庭を逆に歩いて入口へ来ます。入るときにチケットを買わなかったので、出るときも門を抜けるだけです。路地に立つと、大通りの音が半分ほど戻ってきます。マヤは路地の端で一度振り返ります。門の内側の庭は、路地からは見えません。画面が庭から見せる理由が分かる気がします。路地を撮っても庭は映らないのです。
仁寺洞キルに出るとサムジギルが向かいです。二回目に上りきったあの建物。一回目にマヤはサムジギルの前で「先に行こう」と言い、今日はその順番をひとりで守りました。次にルルと来たら順番を変えてみるつもりです。茶院を先に、サムジギルをあとに。戸を開けてから上る方へ。
仁寺洞のシリーズは、ここで場所をひとつ残しておきます。路地ひとつ隔てた塔、そして庭のあるお寺。それはほかの人の午後です。
路地ひとつ奥の美術館には入場料がなく、韓屋は場所より若く、庭園は戸を開けてはじめて見えました。三つとも画面にはなかったものです。画面は庭から見せ、古い家として見せ、戸が開いたまま見せます。マヤがメモに書いた一行が、その三つを全部受け止めています。
画面は開いた戸の内側から始まります。初めて訪れる人は閉まった戸の前から始まります。その戸を開ける手が自分のものだということ — 仁寺洞に三回来たマヤが三回目に分かったのは、それでした。

訪れるなら
アングク駅から路地へ入り、庭と韓屋を見て茶院に座って出てくるのに、40分から1時間を見ておいてください。茶院にいる時間は人それぞれで、徒歩の時間は地図の経路計算値です。
順番を示す概念図 · 縮尺・方位・実際の道の形は表していません。
- アングク駅 → 仁寺洞10キル → 耕仁美術館 — 3号線アングク駅6番出口から仁寺洞キルを下り、仁寺洞10キルへ折れて約412m、5分。5号線チョンノ3ガ駅5番出口からは約501m、7分。美術館の案内は1号線チョンガク駅3番出口も挙げています。 地図で探す
- 入口 → 庭・庭園 — 入場料はありません。庭に立って、展示館と庭園の配置を先に見てください。庭園の作品は目だけで。 地図で探す
- 韓屋展示館の前 — 第3展示館の韓屋の前で軒と風鈴を見上げます。もとの韓屋は南山コル韓屋村へ移され、いまの建物は建て直したものだという来歴は、美術館の案内にあります。 地図で探す
- 伝統茶院 — 中に入って、引き戸を開けてみてください。縁側と庭園がすぐ見えます。お茶は15種 — 名前と値段はその日のメニューで。 地図で探す
アクセス
確認 2026.09.21
3号線安国駅6番出口、1号線鍾閣駅3番出口、5号線鍾路3街駅5番出口(耕仁美術館「アクセス」)。駐車は水雲会館の有料駐車場(徒歩5分)。
時間・料金
確認 2026.09.21
耕仁美術館・ソウル鍾路区仁寺洞10キル11-4。美術館は10:00〜18:00(週末も開館、火曜日は展示の入れ替え日で、新しい展示は水曜日に始まります)、無料、元日・旧正月・秋夕は休館。伝統茶院は10:00〜22:50。展示作品の撮影には作家の同意が必要です(耕仁美術館の案内、2026年9月確認)。
もっと知る1
確認 2026.09.21
伝統茶院は韓屋にあり、15種の韓国伝統茶を出します。引き戸を開けると縁側(トェンマル)と庭がすぐ目の前に見えます。営業10:00〜22:50(耕仁美術館の案内、2026年9月確認)。
- 美術館10:00〜18:00(週末も開館)、無料、元日・旧正月・秋夕は休館。火曜日は展示を下ろして準備する日なので、新しい展示は水曜日に始まります — 耕仁美術館の案内、2026年9月確認。伝統茶院は10:00〜22:50。
- 展示作品の撮影には作家の同意が必要です(美術館の観覧マナー)。この記事は作品を特定しておらず、画像も作品を描いていません。
- この韓屋には敷居と縁側があります。車いす・ベビーカーの方は美術館事務室(02-733-4448)に事前に問い合わせてください。


