SEOUL · JEGI-DONG
16時に間に合わないところだった。ノアが薬材の名前を地図の凡例のように読む、ソウル薬令市韓医薬博物館
チェギドン駅2番出口からソウル韓方振興センターへ — 約380種の薬材の常設展示と特別企画展「薬房の書架」、普済院韓方体験・薬草足湯、11月からは16時で入館締め切り
チェギドン駅を出ると、嗅ぎ慣れない薬材のにおいが届いた。看板の漢字を手帳に写していたノアは、地図の横に時刻を書き込みながら、博物館の閉館時間を10月のままにしていたことに気づく。

行き方
11月初めのある水曜日の午後、ノアは1号線 チェギドン駅の2番出口を出たところで足を止めます。風に乗って届くほろ苦い薬材のにおいは、これまでソウルで歩いたどの通りとも違います。カナダ出身の20歳のノアは、初めての街では看板と道を手がかりに、手帳に地図を描く人です。においの出どころを探すより先に、目の前の看板でハングルに交じる見慣れない漢字を、一画ずつ写し始めます。

チェギドンは、ソウル薬令市がある街です。韓国最大の韓薬材の流通市場で、その一角には韓屋造りのソウル韓方振興センターがあります。センター2階のソウル薬令市韓医薬博物館に並ぶのは、この市場で取引される約380種の薬材です。ノアがここを選んだのも、その数にひかれたからでした。地図を描くノアには、380もの名前が並ぶ展示ケースが、初めて見る地図の凡例を一度に広げたものに思えたのです。
今日のノアには、もう一つやりたいことがあります。ハロウィーンの夜、トゥクソムでヒナから受け取った地図は、出口からステージまでの線に時刻が書き込まれた紙で、今も手帳のいちばん後ろに挟んであります。ヒナが東京へ戻ったあと、ノアは京春線森の道で初めて時刻入りの地図を描いて送り、今日はその2枚目です。今回は薬材のにおいがする通りと、博物館で過ごす時間を、1枚に収めるつもりです。
この記事では、その午後をたどりながらソウル薬令市韓医薬博物館を案内します。1号線 チェギドン駅2番出口からソウル韓方振興センターへ歩き、2階の常設展示と始まったばかりの特別企画展「薬房の書架」、3階の普済院韓方体験、2階の薬草足湯を見ていきます。最後には夕暮れの薬令市の通りと、東大門区の「チェギドン路地物語」散策コースも紹介します。11月から開館時間が変わるのを忘れ、ノアが予定を組み直す場面もあるので、午後に訪れるなら出発前に読んでおくと役立ちます。
The Cue
ソウル薬令市韓医薬博物館は、東大門区薬令中央路26、韓屋造りのソウル韓方振興センター2階にある博物館です。ソウル薬令市で取引される約380種の薬材、伝統医薬器具、薬草の村のジオラマ、昔の韓薬房を再現した空間があり、2階企画展示室では特別企画展「薬房の書架」を2026年10月23日〜2027年5月31日に開催しています。11〜2月の開館時間は10:00〜17:00で、最終入館は閉館1時間前の16:00です。観覧料は大人1,000ウォンで、3階の普済院韓方体験(約30分、1人5,000ウォン)と2階の薬草足湯(約20分、1槽6,000ウォン・最大2人)は、1階案内デスクで時間帯ごとに先着順で受け付けます。アクセスは1号線 チェギドン駅2番出口からです。
- 場所: ソウル韓方振興センター2階、ソウル市東大門区薬令中央路26(チェギドン)。問い合わせは02-969-9241。
- 地下鉄: 1号線 チェギドン駅2番出口。チェギドン駅からセンターまで約523m、歩いて7分ほどです。
- 開館時間: 11〜2月10:00〜17:00、3〜10月10:00〜18:00。最終入館は閉館1時間前で、11月なら16:00です。
- 休館日: 1月1日・旧正月・秋夕。ほかに東大門区長が必要と認めた日の休館は、センターのお知らせに掲載されます。出かける前に確認しましょう。
- 観覧料: 大人1,000ウォン、学生(満7〜18歳)・軍人500ウォン、東大門区民の大人500ウォン。満65歳以上・未就学児・障害のある人・国家有功者・生活保障の受給者は無料です。
- 体験: 普済院韓方体験は1人5,000ウォン(約30分、11時・12時・14時・15時・16時・17時)。薬草足湯は1槽6,000ウォン・最大2人(約20分、10:20〜16:20の1日8回)。1階案内デスクで先着順に受け付けます。
- 車で行くなら: センター地下1〜3階に196台分の公共駐車場があり、24時間営業です。
チェギドン駅2番出口から、11月以降の最終入館は16時
ノアは最初、通りをゆっくり歩くつもりでいました。薬材を売る店が続く道を先に描き、博物館には日が傾いてから、最後に寄る計画です。手帳の開館時間は「10:00〜18:00」なので、16時半ごろに入っても余裕があると思っていました。ところが看板を写す合間に、ヒナに教わったとおり地図の横へ時刻を書き始めると、博物館の閉館時間がどうも気になります。
通りの端に寄り、ソウル韓方振興センターの利用案内を開き直します。18時まで開いているのは夏季、つまり3〜10月の時間でした。冬季の11〜2月は10:00〜17:00で、入館は閉館1時間前までです。11月初めの今日は、16時で入館が締め切られます。ノアが時間を書き写したのは10月で、手帳を見直さないうちに季節が変わっていたのです。

ノアは手帳の「18:00」に線を引き、その下へ「17:00/入館16:00」と書き直します。そして、歩く順番も逆にします。先に博物館を見て、通りはあとで歩くことにしたのです。看板も道も博物館が閉まったあとまで残っていますが、16時を過ぎれば入館は別の日に回すしかありません。11〜2月の午後に訪れるなら、通りで時間を使いすぎないよう、博物館を先にするといいでしょう。
センターへは、1号線 チェギドン駅2番出口から向かいます。チェギドン駅からソウル韓方振興センターまでは約523m、歩いて7分ほどです。ノアは地図アプリに住所の「薬令中央路26」を入れ、足を速めます。歩きながらも看板に目が向きますが、今度はペンを取り出しません。センター前に着くと、手帳の時刻欄に15時を少し過ぎた時間を書き込みます。
ソウル韓方振興センターの1階受付、2階博物館、3階普済院
センターの前に着いたノアは、中へ入る前にまず屋根を見上げます。ソウル韓方振興センターは韓屋造りの韓方複合文化施設で、2017年10月に開館しました。翌年の2018大韓民国国土大展では、歴史・文化建築部門で伝統韓屋の外観、内部の造形美、地域との共生が評価されています。センターのロゴにも、韓屋とソウル薬令市入口の一柱門の曲線が取り入れられています。ノアは空へ少し反り上がる軒先を、手帳の隅に1本の線でなぞります。

建物は、階ごとに役割が分かれています。1階には案内デスク、映像体験室、伝統衣装体験室、教育文化体験室があり、2階にはソウル薬令市韓医薬博物館と薬草足湯体験場、3階には普済院韓方体験室、移動診療室、薬膳料理体験館、多目的講堂があります。地下1〜3階は196台分の公共駐車場で、24時間営業です。ノアは手帳に縦に3つの枠を重ね、各階の配置を描きます。地図を描くノアには、一つの建物も、上へ積み重なった小さな街に見えます。
ノアが先に1階案内デスクへ寄るのは、体験の申し込みのためです。3階の普済院韓方体験と2階の薬草足湯は、ここで時間帯ごとに先着順で受け付けます。普済院韓方体験は11時・12時・14時・15時・16時・17時、薬草足湯は10時20分〜16時20分の1日8回です。ノアは博物館を見たあとにそのまま上がれる、16時の普済院韓方体験に申し込みます。一人で来た今日は1人単位で申し込めるほうが気楽で、16時より前に博物館へ入っておけば、入館締め切りにも引っかかりません。
2階の韓医薬博物館で、約380種の薬材を地図の凡例のように読む
博物館は2階にあります。個人の観覧料は大人1,000ウォン、満7〜18歳の学生と軍人は500ウォン、東大門区民の大人は500ウォンです。満65歳以上と未就学児、障害のある人、国家有功者、生活保障の受給者は無料です。1,000ウォン札1枚で入館しながら、ノアはソウルでこれまで入った博物館の中で、いちばん気軽に買える入場券だと思います。
中へ入ったノアが真っ先に足を止めるのは、薬材の展示ケースです。ここにはソウル薬令市で取引される約380種の薬材が並びます。伝統韓医薬に使われる植物性・動物性・鉱物性の薬材に加え、特色ある薬材、希少な薬材、毒性のある薬材もあり、それぞれの効能は解説パネルで読めます。一つずつ並べられた薬材を見ていると、ノアには地図の隅にある凡例の枠に思えてきます。

ノアは手帳に新しい凡例を作ります。植物性の薬材には小さな葉、動物性には足跡、鉱物性には四角い石の記号を使い、毒性のある薬材は太い枠で囲むことにします。地図で森と建物と岩を記号に分けるように、何からできているかで整理すると、380種という数も少し身近になります。初めて見るなら、名前を全部読もうとするより、まず植物・動物・鉱物の3つに分けて眺めると、展示を追いやすくなります。
展示ケースの合間には、手を動かして試せるコーナーもあります。体験展示では、デジタルパネルで「経絡と経穴」「四象体質診断」「韓方気体操」「体質に合う食べ物の組み合わせ」を紹介し、子どもや青少年向けの「韓方クイズ」も用意されています。薬材に直接触れるコーナーもあり、ノアはガラス越しに見ていた薬材の質感を指先で確かめます。凡例の記号の横に「ざらざら」「軽い」といった手触りのメモが加わるのは、ここからです。
君臣佐使、薬草の村、伝統韓薬房で見る、薬材が薬になるまで
薬材がどのように1包の薬になるのかを紹介する展示もあります。「薬の処方と調製の秘密」では、「君臣佐使」の考え方を映像で見られます。治療の中心となる主薬材の性質に合わせてほかの薬材を組み合わせ、効果を高める処方の考え方です。映像を見ているノアは、すぐに自分の地図を思い浮かべます。ノアも地図を描くときには、まず大通りを1本引き、そこに合わせて路地をつないでいくからです。
手帳に太い線を1本引き、そこから細い線を何本か分け、その横に「君臣佐使=まず大通りから」と書きます。薬を組み立てる順番と、地図を描く順番が似ていることが、今日最初の発見です。ただ、こうした映像も見るなら、薬材の展示ケースだけに時間を使いすぎないほうがよさそうです。最終入館が16時になる季節は、展示ケース、映像、体験パネルに、それぞれ時間を取っておくと回りやすくなります。
「薬草の村の物語」は、薬草を採り、加工して薬材にするまでをジオラマで紹介する空間です。山で薬草を採る人はシンマニや薬草採りと呼ばれ、朝鮮時代にはさまざまな医書がハングルに訳され、人々が身近で手に入る薬草や薬材を知る助けになったことも説明されています。ノアは腰をかがめ、薬草を扱う小さな人形たちと目の高さをそろえます。模型の村の道がどこからどこへ続くのか、指でたどってみるのは、博物館でノアがいちばん好きな遊びです。

館内には、昔の韓薬房を一場面として再現した「薬廛韓薬房」もあります。伝統医薬器具のコーナーには、薬材を採る道具から、量を測る道具、粉にする道具、加工する道具、液状の薬を扱う道具、保存する道具までそろっています。寄贈遺物館にはソウル薬令市の商人、ソウル薬令市協会、さまざまな寄贈者からの品があり、朝鮮時代から現在までの薬令市の由来と歴史をまとめたパネルもあります。市場の人たちが差し出した品々で展示ができていると知り、ノアはこの博物館を、街の古いアルバムのように感じます。
特別企画展「薬房の書架」と韓医薬書籍、引き出しと本から見る薬房
2階企画展示室では、特別企画展「薬房の書架」が開かれています。会期は2026年10月23日〜2027年5月31日で、冬に訪れる人も常設展示と一緒に見られます。英語名は「The Apothecary’s Bookshelf」で、薬房の本棚という意味です。ノアは前の晩にセンターのお知らせを開き、展示のポスターを見ていました。灰色の背景に薬箪笥と引き出し、薬瓶、薬草の鉢、本の山が、民画のように並ぶ絵です。
ポスターでノアが長く見ていたのは、引き出しと本が同じ絵の中にあることでした。引き出しは物を仕分けて収める場所で、本はそこに何が入っているかを書き留める場所です。ノアの手帳も、考えてみれば同じです。前のページの地図では道を区切り、後ろの凡例では、その区切りの中に何があるかを書いています。企画展示室の前で、ノアは今日作った薬材の凡例の横に、小さな引き出しの枠を描き足します。

本の話は、常設展示にも続きます。「韓国韓医学の成立・発展・完成」の空間には所蔵する韓医薬書籍が展示され、博物館は「済衆新編」や「東医宝鑑」といった古書も所蔵しています。同じ館内には、韓医薬の世界市場や現代化を扱い、これからの政策とビジョンを紹介する「韓医薬の政策と未来ビジョン」の空間もあります。昔の本と未来の市場が同じ階にあるのを見ていると、博物館全体が、時代に沿って描かれた長い地図に思えてきます。時計を見ると、16時の体験まであと10分です。
3階の普済院韓方体験は約30分、1人5,000ウォン
ノアは手帳を閉じて3階へ上がります。3階には普済院韓方体験室と移動診療室があります。「普済院」は朝鮮時代からこの街にあった名前ですが、その話は体験を終えて通りに出てから、もう一度読むことにします。体験室の前で順番を待ちながら、手帳の時刻欄に「16:00 3階」と書き込みます。

普済院韓方体験は、アロマの香りが広がる室内で、機械式の温熱マッサージマットと温熱アイマスクを使って韓医学の経絡や経穴に触れ、椿油入りの韓方ハンドパックと指圧を受けるプログラムです。所要時間は約30分、料金は1人5,000ウォンで、各回20人まで先着順で受け付けます。未就学児は入場できず、骨粗しょう症のある人や妊娠中の人など、体験による悪影響が懸念される場合は利用が制限されることがあります。ノアは温かいマットに横たわって目を閉じ、さっき2階のパネルで見た「経絡と経穴」を思い浮かべます。
ハンドパックのあいだ、ノアは今日初めてペンを手放します。一日中何かを書き写していた手が、椿油の香りの中で少し休む時間です。体験を終えると、手帳に手のひらを一つ描き、指圧を受けた場所に点をいくつか打ちます。地図に点を打つ癖が手のひらにまで出たことに気づき、一人で少し笑います。
同じ階にある移動診療室は、旅行者向けの体験とは役割が異なります。普済院の移動診療は、かつての普済院の役割を受け継ぎ、高齢者や外国人、障害のある人など、診療を必要とする人へ無料の韓方診療を提供するもので、電話予約制、日曜と月曜は休診です。見学や観光のためのプログラムではないので、ノアは扉の前で、その名前だけを手帳に写します。昔この街で普済院が担っていた仕事が、今は3階の一角で続いています。
2階の薬草足湯は約20分、1槽6,000ウォンで最大2人
3階から下りたノアは、2階の薬草足湯の時間表をもう一度見ます。薬草足湯は、伝統韓屋の趣がある楼閣の下で、ヨモギや甘菊など季節の薬材を入れた温かい湯に足を浸すプログラムです。「東医宝鑑」にある、頭は涼しく、足は温かくするという養生の考え方「頭寒足熱」をもとにしています。開始時刻は10:20、11:00、11:40、13:20、14:00、14:40、15:20、16:20の1日8回で、1回約20分です。

料金は1槽6,000ウォンで、1槽につき最大2人まで利用します。1階案内デスクで時間帯ごとに先着順で受け付け、各回最大12槽です。気象特報など運営上やむを得ない事情で利用が制限される場合があり、体験場の構造上、移動に介助が必要な人も利用が制限されることがあります。子どもには保護者の同伴が必要です。2人なら1槽を分けて使う足湯、一人なら1人単位の普済院韓方体験を選ぶと、料金を考えやすくなります。
ノアは足湯を次の機会に回します。最後の16時20分の回は3階にいるあいだに始まっていましたし、手帳に残る「1槽=2人」という数字も、一人で来た今日には少し余裕があります。足湯も利用したいなら、午後遅くに着くより、16時20分より前の回に合わせて早めに申し込んでおくといいでしょう。16時40分ごろ、ノアはセンターが閉まる前に外へ出ます。
普済院の昔話と「ハンチャム」、薬材商が集まった東大門の外
センターを出たノアは、さっき後回しにした普済院の話をスマートフォンで開き直します。読み始めると、3階で見た名前が、昔の街の中につながっていきます。朝鮮時代、興仁門、つまり東大門の外3里の地点にあった普済院は、その名のとおり、貧しい人々を救済し保護する施設でした。飢えた人々に食事を出す施食の場として使われ、韓医院と韓医師を置いて貧しい人々を診療し、身寄りなくさまよう人を保護して、亡くなると葬儀まで行っていました。ノアはここでようやく、3階の移動診療室に「普済院」という名前が付いている理由がわかった気がします。
世宗の時代の記録「世宗実録」には、興仁門の外に普済院、昭義門の外に弘済院を置き、飢えた人々への施食の場とするため、「土」の字形に2間を造ったという記述があります。ソウル近郊の院には、東大門の外の普済院、西大門の外の弘済院、南大門の外の梨泰院、光熙門の外の箭串院がありました。その一覧で「梨泰院」を見つけたノアは、ペンを止めます。ソウルに来て何度も耳にした街の名前が、昔の院の一覧に入っているからです。同じ名前が時を越え、違う役割で残っている話は、いつもノアの手帳でいちばん太い文字になります。

話は、薬令市の成り立ちにもつながります。昔から興仁門の外の普済院周辺には、京畿道や江原道で採った韓薬材を売る商人が多く集まり、現在ソウル薬令市に指定されている京東韓薬商街が近くで栄えたのも、そうした土地の歴史と結び付いています。ソウル薬令市は、救済施設だった普済院の跡地にある市場です。全国の薬材商が清涼里駅や馬場洞高速バスターミナルを経てこの辺りへ集まり、自然に市場ができていきました。ノアはソウルへ入ってくる薬材がこの道筋に集まる様子を、何本もの矢印で手帳に描きます。
そして話の終わりに、ノアは今日いちばん気に入る言葉に出会います。昔の道には一日歩いた先ごとに「站」という中継地点が置かれ、韓国語で「しばらく歩くと見えてくる」と言うときの「ハンチャム」は、この「站」に由来するという話です。歩いて道を描く人には、うれしくなる言葉の由来です。ノアはチェギドン駅からセンターまで歩いた7分を思い出し、笑います。一日がかりの道のりに比べたら、今日は「しばらく」どころか、ほんの数歩のようなものです。
夕暮れの薬令市と「チェギドン路地物語」の散策コース
ここでようやく、ノアは最初の予定どおり薬令市の通りを歩きます。センター前の薬令中央路をゆっくり進み、昼間に写しかけた看板の漢字を描き足します。ソウル薬令市はソウル特別市から伝統韓薬市場地域として指定承認を受け、2005年7月5日にはソウル薬令市韓方産業特区にも指定・告示されました。ノアは「藥令市」の最初の文字「藥」を今日何度写したか数え始め、途中でやめます。
チェギドンという地名にも、由来の話があります。朝鮮時代、神農氏と后稷氏をまつり、王が豊作を祈った先農壇の祭祀の地を「チェト」と呼んでいたものが、のちに漢字音の「チェギ(祭基)」になったという話です。史跡第436号の先農壇は、朝鮮王朝の歴代国王が農耕の神と穀物の神にその年の豊作を祈って祭祀を行った場所で、そばにまっすぐ高く伸びるイブキは天然記念物第240号です。ソルロンタンという料理名にも、先農壇の「ソンノンタン」に由来するという話が残っています。名前が変わりながら残る話を集めるノアの手帳に、今日だけで2行増えます。

この街を一続きに歩く、東大門区の散策コースもあります。「チェギドン路地物語」の自主散策コースは、先農壇からチェギドン聖堂、パンアダリ橋を経て、ソウル薬令市と韓医薬博物館へ向かいます。豊作を祈った先農壇、ソウル未来遺産のチェギドン聖堂、チェギドンの商業用韓屋密集地域を巡り、薬令市と博物館で歴史と健康に触れるコースです。今日のノアの道筋は、その終点から逆向きに歩いて、途中で止まったような形です。
距離で見ると、チェギドン駅から先農壇歴史文化館までは約655m、歩いて9分ほどで、ソウル韓方振興センターからは約874m、11分ほどです。同じ駅から京東市場までは約472m、歩いて7分ほどです。一日に何か所か回るなら、まず博物館の最終入館時刻16時を手帳に書き、ほかの場所をその前後に組むと計画しやすくなります。ノアは先農壇へ向かう道を、今日の地図には点線だけで描きます。日が傾き、今日の地図はここで仕上げることにしたからです。
時刻を書き込んだ薬令市の地図を、駅へ戻る途中でヒナに送る
チェギドン駅へ戻る途中、ノアは通りの端に寄り、今日の地図を最初から見直します。2番出口から伸びる線は看板の前で何度か止まり、線を引いて消した「18:00」の横で曲がって、センターへまっすぐ続いています。センターの枠は縦に3階分あり、2階には葉と足跡と石の凡例、3階には手のひらが一つ描かれています。道の線には通った時刻が、建物の枠の横には閉まる時刻が並んでいます。
京春線森の道で描いた地図とは、一つ違うところがあります。あのときは閉まる時刻を全部書いてから道筋を描きましたが、今日は道筋を描く途中で締め切りに気づき、線を引き直しました。消した線と直した線が1枚に残っているので、少し雑然としていても、今日何があったのかはよくわかります。ノアはそのページを写真に撮り、東京のヒナへ送ります。「今回は、一度消して描き直した地図だよ。」

改札を通る前に返事が届きます。「線を引いて消した18時が、いちばん目に入るね。それこそ本当の時間の地図だね。」ノアは手帳を閉じる前に、いちばん後ろに挟んだヒナの紙と今日のページを、一度並べて広げます。ソウル薬令市韓医薬博物館は11〜2月の最終入館が16時なので、この季節の午後なら博物館を先に、通り歩きはそのあとにするといいでしょう。看板も道も、日が沈んだあとまで同じ場所で待っています。
Common Mistakes — よくある失敗
夏の開館時間のつもりで遅く着く
18時まで開いているのは3〜10月です。11〜2月は17時に閉まります。
17時閉館だから16時半に入ろうとする
最終入館は閉館1時間前で、11〜2月は16時までです。
通りを先に歩いて、博物館に入りそびれる
この季節の午後なら、博物館を先に見て、薬令市の通りはあとで歩きましょう。
月曜日が休館日だと思い込む
定期休館日は1月1日・旧正月・秋夕です。そのほかの休館日はセンターのお知らせに掲載されます。
移動診療を旅行者向けの体験だと思う
3階の移動診療は、診療を必要とする人のための電話予約制の無料診療です。旅行者向けのプログラムは普済院韓方体験で、1人5,000ウォンです。
足湯は遅く行っても間に合うと思う
最後の回は16時20分開始で、1階案内デスクで先着順に受け付けます。
FAQ — よくある質問
どうやって行きますか?
1号線 チェギドン駅2番出口から向かいます。チェギドン駅からソウル韓方振興センター(東大門区薬令中央路26)まで約523m、歩いて7分ほどです。
何時まで入れますか?
11〜2月は10:00〜17:00で、入館は16:00までです。3〜10月は10:00〜18:00で、最終入館は閉館1時間前です。
入場料はかかりますか?
大人1,000ウォン、学生(満7〜18歳)・軍人500ウォンです。満65歳以上・未就学児・障害のある人・国家有功者・生活保障の受給者は無料です。
薬材は何種類展示されていますか?
ソウル薬令市で取引される約380種です。植物性・動物性・鉱物性の薬材のほか、特色ある薬材、希少な薬材、毒性のある薬材もあります。
「薬房の書架」はいつまでですか?
2026年10月23日〜2027年5月31日、2階企画展示室で開催しています。
体験はどう申し込みますか?
1階案内デスクで時間帯ごとに先着順で受け付けます。普済院韓方体験は約30分・1人5,000ウォン、薬草足湯は約20分・1槽6,000ウォン(最大2人)です。
休館日はいつですか?
1月1日・旧正月・秋夕です。ほかに東大門区長が必要と認めた日の休館は、お知らせに掲載されます。
車でも行けますか?
センター地下1〜3階に196台分の公共駐車場があり、24時間営業です。
Recap — 出発前の30秒
- 1号線 チェギドン駅2番出口 → ソウル韓方振興センター(薬令中央路26)2階。駅から約523m、歩いて7分ほど。
- 11〜2月10:00〜17:00、入館は16:00まで。博物館を先に、通り歩きはあとで。
- 大人1,000ウォン。満65歳以上・未就学児は無料。
- 約380種の薬材の常設展示と「薬房の書架」(2027年5月31日まで、2階企画展示室)。
- 普済院韓方体験は1人5,000ウォン、薬草足湯は1槽6,000ウォン(最大2人)。1階案内デスクで先着順。
参考資料
- ソウル韓方振興センター — 利用案内3〜10月10:00〜18:00 · 11〜2月10:00〜17:00 · 最終入館は閉館1時間前 · 1月1日・旧正月・秋夕と別途指定する休館日 · 個人大人1,000ウォン、学生・軍人500ウォン · 区民割引と観覧料免除対象確認 2026-10-26
- ソウル韓方振興センター — アクセス1号線チェギドン駅2番出口 · 東大門区薬令中央路26 · 代表電話02-969-9241 · 地下1〜3階の公共駐車場196台、24時間営業確認 2026-10-26
- ソウル韓方振興センター — 常設展示約380種の薬材と植物・動物・鉱物性の分類 · 君臣佐使の映像体験 · 薬草の村のジオラマ · 伝統韓薬房 · 伝統医薬器具と寄贈資料 · 薬材に触れる体験とデジタル体験 · 韓医薬書籍と未来ビジョンの展示確認 2026-10-26
- ソウル韓方振興センター — 薬草足湯体験季節の薬材を使う足湯と頭寒足熱 · 約20分 · 1槽6,000ウォン、最大2人 · 10:20〜16:20の1日8回 · 1階案内デスクで時間帯別先着順、最大12槽 · 利用制限と子どもの保護者同伴確認 2026-10-26
- ソウル韓方振興センター — 普済院韓方体験温熱マッサージマット・温熱アイマスク・椿油入りハンドパックと指圧 · 約30分 · 1人5,000ウォン · 各回20人、1階案内デスクで先着順 · 未就学児の入場不可と利用制限確認 2026-10-26
- ソウル韓方振興センター — 特別企画展「薬房の書架」案内告知と添付ポスターの展示名・英語名 · 2026年10月23日〜2027年5月31日 · 2階企画展示室 · ポスターに描かれた薬箪笥・引き出し・薬瓶・薬草の鉢・本確認 2026-10-26
- 東大門区文化観光 — 普済院で一晩休んでいきましょう普済院の救済・診療・保護・葬儀の役割 · 世宗実録の紹介とソウル近郊の四つの院 · 京畿・江原の薬材商と普済院近くの韓薬商街 · 一日歩く距離ごとの站と「ハンチャム」の由来の話確認 2026-10-26
- 東大門区文化観光 — チェギドン路地物語自主散策コース:先農壇 → チェギドン聖堂 → パンアダリ橋 → ソウル薬令市 → 韓医薬博物館 · 先農壇・ソウル未来遺産のチェギドン聖堂・商業用韓屋密集地域を結ぶコース紹介確認 2026-10-26
AIキャラクターと一緒に歩くソウルの物語です。スポット情報は公開資料で確認し、写真はAIで制作した演出画像です。 AI活用について


