SEOUL · DREAM FOREST

観光地より、地元の人が歩く公園へ。マヤとリナが北ソウル夢の森の展望台に上る平日の午後

東門から七瀑池と月影池、物語庭園の昌寧尉宮斎舎を通って49.7mの展望台へ — 駅からのバスと展望台の開館時間

宮殿に市場、弘大に石村湖と、忙しく歩き回っていたマヤ。リナに送ったお願いは短いひと言だった。「今度は観光地じゃなくて、ソウルの人が平日に歩く公園に行ってみたい。」リナが選んだのは、江北区の北ソウル夢の森だった。

秋の午後、ススキと白樺の林のあいだを曲がる公園の道を、並んで話しながら歩くマヤとリナ。カメラを提げたマヤと手帳を持つリナ、遠くのベンチで休む人たちと丘の上の低い建物。編集イメージ。

マヤがソウルに来て、数週間が過ぎました。シンガポール出身の21歳、初めてのソウル旅行とあって、宮殿に市場、弘大の夜や石村湖の明かりまで、毎日忙しく歩き回っています。写真フォルダは日ごとに膨らんでいきますが、ある夜、その写真を見返していてふと気づきます。ソウルの人たちが、ごく普通の平日の午後を過ごす姿は、ほとんど写っていません。

夜、宿のベッドに腰かけてノートパソコンの写真をめくり、手を止めて考え込むマヤ。暖かいスタンドの明かり。編集イメージ。
写真フォルダのどこにもなかった、ソウルの平日の午後。

そこでマヤはリナにメッセージを送ります。「今度は観光地じゃなくて、ソウルの人が平日に歩く公園に行ってみたいな。リナが選んでくれるなら、どこでもいいよ。」日本から来た23歳のリナはソウルが初めてではなく、行き先を決めるときはまず手帳を開く人で、鍾路3街で出会い、弘大のレッドロードを一緒に歩いて以来、マヤが道選びでいちばん頼りにしている相手です。翌朝届いた返事には、「北ソウル夢の森はどう? 山が見える展望台があるよ」とありました。

リナがそこを選んだ理由は、手帳に3行で記してあります。昔の遊園地ドリームランドの跡地にできた大きな緑地公園で、滝が連なる池と古い家があり、展望台からはソウル北部の山々を一望できること。マヤは「展望台」と聞くと、さっそくカメラのバッテリーを用意します。リナからもう一つ届いたのは、月曜日は避けようというひと言で、その日は展望台が休館です。

この記事は、二人が一緒に出かける3回目の日の物語であり、北ソウル夢の森を初めて訪れる人のための案内でもあります。地下鉄からバスへの乗り換え、東門と西門の選び方、七瀑池や月影池、昌寧尉宮斎舎で見るもの、展望台が閉まる時間まで、二人の歩く順に紹介します。宮殿や繁華街ほど名の知られた場所ではありませんが、ソウルの人たちの普段の午後をそばで見たいなら、一日を使って訪れたい公園です。

The Cue

北ソウル夢の森は、ソウル市江北区月渓路173にある大きな緑地公園です。旧ドリームランドの跡地、約68万㎡に整備され、公園は常時開放されています。アクセスは地下鉄駅からバスに乗り換え、展望台とアートセンターへは西門、ビジターセンターへは東門が近くなります。展望台の開館時間は3〜10月が10:00〜18:00、11〜2月が10:00〜17:00で、月曜休館です。

始める前に
  • いつ: 公園は常時開放。展望台は3〜10月10:00〜18:00、11〜2月10:00〜17:00、月曜休館です。11月1日からは17時に閉まります。
  • 東門へ: 1号線 月渓駅1番出口、または6号線 トルゴジ駅3番出口から147番バス → 北ソウル夢の森 東門(ビジターセンター)。
  • 西門へ: 4号線 ミアサゴリ駅からマウルバス江北05番、または支線バス1124番 → 北ソウル夢の森 西門(展望台・アートセンター)。
  • 見るところ: 七瀑池(小さな滝7つ・橋9つ)、月影池と青雲畓園の芝生広場、物語庭園の昌寧尉宮斎舎、高さ49.7mの展望台。
  • 便利な設備: 東門ビジターセンターに車いす・ベビーカーの貸し出しと授乳室があります。園内にはカフェ・コンビニ・水飲み場もあります。
  • 車で行くなら: 土日・祝日は公共交通機関を利用しましょう。

北ソウル夢の森へ、地下鉄駅からバスに乗り換え

リナが決めた待ち合わせ場所は、6号線 トルゴジ駅の3番出口です。マヤは少し早く着き、出口の前でスマートフォンの地図に公園名を入れてリナを待ちます。北ソウル夢の森は地下鉄駅からそのまま歩いて入る公園ではなく、駅を出てバスに1回乗り換えて向かいます。トルゴジ駅3番出口、または1号線 月渓駅1番出口から147番バスに乗り、北ソウル夢の森 東門で降ります。主な出入口となる東門には、ビジターセンターがあります。

トルゴジ駅周辺の Google マップ。赤いピンが地図上部の3番出口を指しています。
トルゴジ駅3番出口周辺 · Google マップで開く
晴れた平日の昼、歩道をバス停のほうへ歩きながら手帳を開いて見せるリナと、のぞき込んでうなずくマヤ。編集イメージ。
トルゴジ駅3番出口から147番バスに乗り換え。

バスを待つあいだ、リナは手帳に描いた小さな地図をマヤに見せます。公園の両端に「東門」と「西門」、そのあいだには池が2つ、家が1軒、塔が1つ描いてあります。展望台とアートセンターは西門側で、そちらへ向かうなら4号線 ミアサゴリ駅からマウルバス江北05番か支線バス1124番に乗ります。リナの計画は、東門から入って園内を横切り、展望台に上ったあと、西門からバスでミアサゴリ駅へ出るというものです。

マヤもその計画が気に入ります。同じ道を引き返さずに公園の端まで見られて、いちばん高い場所を最後に残しておけるからです。初めて行くなら、入口は目的に合わせて選ぶのがおすすめです。展望台だけならミアサゴリ駅から西門へ、公園をゆっくり歩くなら東門から入るといいでしょう。バスが来るとリナは手帳を閉じ、マヤを前の席のほうへ連れていきます。

東門のビジターセンターから歩き始める

東門でバスを降りると、広い道が公園の奥へ延び、一緒に降りた人たちは慣れた足取りでそれぞれの方向へ散っていきます。主な出入口である東門のビジターセンターには、授乳室と車いす・ベビーカーの貸し出しがあります。館内の「夢の森の物語」展示館は09:00〜18:00、毎週月曜休館です。展望台と休みが同じなので、月曜は避けようというリナのひと言は、ここでも役に立ちます。

午後の日差しの中、広い公園の道の分かれ道で手帳とスマートフォンを並べて方向を確かめるリナと、一歩後ろで木々やベンチの人たちを見回すマヤ。編集イメージ。
東門から入り、最初の分かれ道で方向を確かめる。

最初の分かれ道でリナは立ち止まり、手帳の地図とスマートフォンを並べて方向を確かめます。道の前に立つと、地図で見ていたよりもずっと広い公園だと実感します。マヤが先に目を向けるのは、地図よりも、その先に続く道や木々です。平日の午後、ベビーカーを押す人、一人で歩く人、ベンチで休む人がぽつぽつと見え、マヤが見たかったのはまさにそんな風景です。

公園は常時開放なので、早朝や夕方にも歩けます。ただし展望台と展示館には開館時間があるため、両方を見るなら日中に入るといいでしょう。園内にはカフェ3か所とコンビニ、水飲み場8か所、デッキの休憩スペース9か所、水辺の休憩スペース5か所があり、歩く途中でひと休みする場所にも困りません。水を1本だけ持ってきたリナを見て、マヤは自分のバッグからお菓子の袋を取り出して見せます。

これほど広い公園になったのには、理由があります。北ソウル夢の森は、かつて遊園地ドリームランドがあった約68万㎡の土地につくられた緑地公園で、桜並木や森、大きな池を組み合わせた、生態系にも配慮した空間です。遊園地があったと聞いて、マヤはもう一度辺りを見回します。遊具の代わりに木や芝生が広がる景色を眺めながら、同じ土地に、まったく違う形で人が集まってくるのが不思議だと話します。

七瀑池で滝7つと橋9つを数える

リナが最初に向かうのは、七瀑池(チルポクチ)です。谷の水が大小7つの滝となって流れるように整えられた池で、斜面を下る滝の上には9つの橋が架かっています。周りにはススキが広がり、白樺の道も続きます。名前のとおり「7つの滝の池」なので、リナは着く前から一つずつ数える気満々で、マヤは今日もまず手帳にマスを描くのだろうと見当をつけています。

階段のように続く小さな滝と小さな橋のそばの石の道で、指を広げて滝を数えるリナと、低くかがんでカメラを構えるマヤ。編集イメージ。
七瀑池(チルポクチ)、滝が七つと橋が九つ。

リナは手帳に7つのマスを描き、滝を通るたびに一つずつ埋めていきます。レッドロードでR1からR7までのマスを埋めていたのと、同じやり方です。一方のマヤは、滝を一つずつ見るよりも、水の流れと橋が重なって見える場所を探します。何度か立つ位置を変えた末に、上の橋の下へ2つの滝が一緒に収まる角度を見つけ、リナを呼びます。画面をのぞいたリナは、自分がマスで区切って数えていた滝が、マヤの写真では一続きの流れになっていることに気づきます。

橋は、マヤのほうが先に数え終わります。写真を撮ろうと水辺を上ったり下りたり、あちらの橋からこちらの橋へ渡るうちに、自然と数が増えていったからです。「9つで合ってる?」と聞くマヤに、リナは手帳を確かめ、笑ってうなずきます。橋のマスの横には、小さな字で「マヤが先」と書き添えます。

七瀑池では、一か所から全体を写そうとするより、橋を一つずつ渡りながら滝を順に見るほうが楽しく歩けます。初めてなら、リナのように滝と橋を数えてみてください。どこまで来たか自然にわかり、同行者と離れても「5つ目の橋で」と待ち合わせ場所を伝えやすくなります。写真を撮るなら、マヤのように滝だけを切り取らず、橋と水の流れが重なる場所を探すのも一つの方法です。周りのススキや白樺の道を画面の端に入れると、池を囲む森の様子まで1枚に収まります。

七瀑池のベンチで聞く、石村湖の話

滝を数え終えた二人は、水音の聞こえるベンチに座ってひと息つきます。弘大で別れてからはメッセージだけのやり取りだったので、リナはそのあいだにマヤがどこへ行ったのか気になっています。先週は何をしていたのかと聞くと、マヤは待っていましたとばかりにスマートフォンの写真を開きます。金曜の夕方、石村湖でルルと一緒にイーサンという人に初めて会った話です。イーサンはアメリカ出身のエンジニアで、ルルが望遠市場で先に知り合っていた相手です。

水辺のベンチに並んで座り、マヤが差し出したスマートフォンを一緒に見る二人。笑って説明するマヤと眉を上げるリナ、背後にぼんやりした滝。編集イメージ。
ベンチで聞いた石村湖の話。

マヤが最初に見せるのは、湖畔のデッキで撮った写真です。イーサンが何も持っていない手でコロッケをつまむふりをして、笑っています。その日、イーサンは手帳に2つの湖と1本の道を描き、そこへ点灯した照明の線を重ねていたとマヤが話すと、リナは身を乗り出します。「手帳に絵を描く人なんだ? 私と似てるね。」

マヤはその日、イーサンの手帳に落ち葉を1枚挟んだことも、写真フォルダを「Promise」と名づけたことも打ち明けます。ひと通り聞き終えたリナは、次の夕食はどこで食べることになったのかと尋ねます。芳夷洞のグルメ通りだと聞くと、手帳のいちばん後ろを開いて、その名前を書き留めます。マヤはそれを見て、いつかリナとイーサンが手帳を並べて開く場面を想像し、一人で笑ってしまいます。

月影池と青雲畓園、水辺の休憩スペースへ

七瀑池を過ぎ、二人は月影池(ウォリョンジ)へ向かいます。さっきの石村湖の話が頭に残っているのか、リナは「今日は池が2つあるだけだよ」とマヤをからかいます。月影池は公園の大きな池で、伝統的な趣のある景観が広がります。その向こうに見える青雲畓園は、ソウル広場の約2倍もある広い芝生広場です。青雲畓園と月影池が接する場所には、池を眺めながら休めるスペースがあります。

広い池とその向こうの大きな芝生広場、水辺の休憩所の手すりにもたれる二人が小さく見える遠景。カメラを構えるマヤと池を眺めるリナ。編集イメージ。
月影池(ウォリョンジ)の向こうに広がる青雲畓園。

月影池の前で、マヤは今日初めて長いあいだ立ち止まります。池と芝生広場、その後ろの木々と空が幾重にも重なり、どこで画面を区切るか、なかなか決まりません。最後は水面を画面の下に広く取り、芝生広場を中央の横のラインに据える構図を選びます。そのあいだリナは休憩スペースの手すりにもたれ、水辺をゆっくり歩く人たちを、手帳の隅に小さな点で描き留めます。

「こういう景色が見たかったんだ」と、マヤはカメラを下ろします。芝生でボールを投げ合う人、ベンチで本を読む人、池の周りを歩く人たちの中に、観光客らしい姿はほとんどありません。リナは返事の代わりに、手帳の点を見せます。平日の午後、公園を歩く人たちの通り道が、池に沿って点線のようにつながっています。

青雲畓園の向かいにあるカフェは07:00〜23:00に開いているので、早朝や夕方の散歩でも立ち寄れます。月影池のスナックハウスは土日・祝日の11:00〜18:00のみ営業し、11〜2月は休業です。平日に行くなら、お菓子を用意しておくか、アートセンター地下1階入口のコンビニ(09:00〜18:00)を利用すると便利です。ここでマヤが朝に用意したお菓子の出番となり、二人は池の前の休憩スペースで分け合いながら、次に向かう場所を決めます。

物語庭園の昌寧尉宮斎舎、古い家に残る歴史

月影池のそばには、物語庭園があります。昌寧尉宮斎舎と竹林、月光台、愛月亭、石橋からなる庭園で、園内でもひときわ静かな場所です。リナが今日、いちばんゆっくり過ごしたいのもここです。布の仕上げを見るように古い家の継ぎ目を眺めるのも好きで、この家の名前は漢字まで手帳に写してきています。竹林の前でリナが歩調を緩めると、マヤもここでは時間をたっぷり取ろうと決めます。

竹林のそばの石橋から瓦屋根の韓屋を見る二人。手帳を胸に抱えて軒を見上げるリナと、横に一歩よけたマヤ。編集イメージ。
物語庭園、竹林の向こうの昌寧尉宮斎舎。

昌寧尉宮斎舎は、朝鮮王朝第23代王・純祖の駙馬、昌寧尉金炳疇の斎舎です。「駙馬」は王の娘婿、「斎舎」は祭祀のために建てた家を指します。韓国併合後、金炳疇の孫である金奭鎮が日本からの男爵位を拒み、自ら命を絶って殉国した歴史が、この家には残っています。2002年に国家登録文化遺産として登録され、現在はソウル市が所有・管理しています。

リナは軒のラインや柱を、一つずつ手帳に描いていきます。舎廊棟の一部は19世紀に建てられたもので、斎舎と行廊は朝鮮戦争で爆撃を受け、建て直されました。リナは、一つの家に違う時代が重なっているのが面白いと言い、絵の横に「19世紀」と「戦後」を分けて書き込みます。

そのあいだマヤは、竹林と屋根が一緒に収まる場所を探し、数歩ずつ位置を変えています。宮殿で見た大きな屋根とは違い、この家の屋根は公園の木々のあいだに低く収まっています。その低いラインを生かそうと、マヤはカメラを腰の高さまで下ろします。リナはその姿を見て、マヤが撮ろうとしているのは家そのものより、家がそこにたたずむ景色なのだと気づきます。

物語庭園は、足早に通り抜けるより、ゆっくり見て回りたい場所です。愛月亭や石橋、竹林を順に歩きながら、昌寧尉宮斎舎をいろいろな角度から眺めてみてください。池と芝生広場を過ぎ、竹林の向こうに朝鮮王朝時代の家が現れるひとときは、この公園でもとりわけ静かで、心に残ります。金奭鎮の話を知っていると、同じ屋根も、ただ美しい韓屋として見るときとは少し違って見えます。リナのように家の名前と時代を手帳やスマートフォンに残しておくと、あとで写真を見返したときも記憶がはっきりよみがえります。

展望台へ向かう前に、開館時間と休館日を確認

物語庭園を出るころには、日が少し傾いています。時計を見たリナが、そろそろ展望台へ行こうと声をかけます。展望台は3〜10月が10:00〜18:00、11〜2月が10:00〜17:00で、月曜休館です。公園は常時開放でも展望台には閉館時間があるので、いちばん高い場所を最後に残すなら、そこから逆算して歩きましょう。

午後遅く、公園の道を早足で歩きながら腕時計を指して振り返るリナと、笑って歩調を合わせるマヤ。道の先の丘に建物の輪郭。編集イメージ。
11月1日から、展望台は17時に閉まる。

リナの手帳には、開館時間が2行に分けて書いてあります。18時と17時、そのあいだには「11月1日」が太く記されています。晩秋に行くなら、覚えておきたい日付です。10月の最終日までは18時に閉まりますが、11月1日からは17時となり、同じ午後でも見られる時間が1時間短くなります。冬の時間は2月まで続き、3月になると再び18時閉館に戻ります。

どちらの時期でも17時前に上れば安心、とリナは話します。そのため園内を歩くあいだもときどき時計を見ていて、物語庭園でも、もう少しいたい気持ちを切り上げています。マヤは、リナが細かく時間を見てくれているおかげで、今日は気楽に歩けているのだと気づきます。展望台とアートセンターは西門側にあり、公園を横切ってきた二人も、そろそろ出口の近くです。

展望台から見る北漢山・道峰山・水落山

展望台は夢の森アートセンターの上方にある地上3階の建物で、高さは49.7mです。北には北漢山・道峰山・水落山の稜線が大きく広がり、南には南山(ナムサン)や漢江まで見渡せます。園内の池や芝生広場を通って上がってくると、それまで歩いた道とソウル北部の山々が、一度に目に入ります。展望台にはカフェもあり、窓の外を眺めながらひと休みできます。

展望台のガラス窓の前で、遠く重なる山の稜線を一つずつ指さすリナと、その指先を目で追うマヤの後ろ姿。編集イメージ。
49.7mの展望台から指さした北漢山・道峰山・水落山。

リナが今日、マヤにいちばん見せたかったのは、この眺めです。窓際で手帳を開き、あらかじめ書いてきた名前を見ながら、北漢山、道峰山、水落山と一つずつ指さします。マヤも名前を聞くたびに、その指先を目で追います。宮殿の後ろにも、市場の路地の先にも、いつも遠くに見えていた山々ですが、名前を知ると初めて、それぞれ違う山として見えてきます。

マヤはカメラを持ち上げる前に、しばらくそのまま立っています。3つの山と、その下に広がる街、足元の公園をどう一つの画面に収めるか、頭の中で先に描いています。やがて山の稜線を画面の上に長く取り、下には今日歩いてきた公園の緑を入れます。写真を見たリナは、今日手帳に描いた地図と同じ構図だと笑います。

「ソウルにこんなに山があるなんて、知らなかった」とマヤが言うと、リナは手帳を1枚めくり、東大門の水色、京義線森の道の黄色、レッドロードの赤へと続く色のリストを見せます。その下に、リナは新しい1行を書き足します。「夢の森の展望台 — 遠い山の青みがかった灰色。」マヤはその色の名前が気に入り、今日撮った写真のフォルダにも、そのまま同じ名前をつけます。

展望台へ上るなら、空の晴れた日を選ぶといいでしょう。見通しのよい日は山の稜線がくっきり見え、南の南山や漢江まで一望できます。閉館時間より少し早めに上がっておくと、窓際で山の名前を確かめ、写真の構図を選ぶ時間も取れます。そうしていると、思ったより早く時間が過ぎるものです。山の名前を先にスマートフォンへメモしておけば、リナのように窓の外と照らし合わせて、一つずつ探せます。

西門からバスでミアサゴリ駅へ戻る

展望台を下りた二人は、アートセンターの前を通って西門へ出ます。夢の森アートセンターは西門側なので、展望台だけが目的なら、西門から入って同じ西門へ戻るとスムーズです。西門からはマウルバス江北05番か支線バス1124番で、4号線 ミアサゴリ駅へ行けます。東門から入った二人は、こうして公園を一方向に横切ったことになります。

アートセンターの前庭は文化広場と呼ばれ、建物を映す鏡池とジャンピング噴水があります。アートセンターには2つの公演ホール、ドリームギャラリー、レストラン、カフェも入っています。マヤは鏡池に映る建物を見て立ち止まり、水面の姿と実際の建物が上下に接する構図で、今日最後の風景を撮ります。隣ではリナが、今日描いた地図の西門に小さな丸をつけ、手帳を閉じます。

夕暮れ、公園の出入口近くの歩道でスマートフォンの写真を一緒にめくりながら歩く二人。画面を指すマヤと、マヤを見て笑うリナ。編集イメージ。
西門を出ながら、今日の写真を最初から。

バスを待ちながら、マヤは今日撮った写真を最初から見返します。七瀑池の滝と橋、月影池と芝生広場、昌寧尉宮斎舎の低い屋根、展望台から見た山々。観光地で撮った写真とは違い、どの写真にも、公園を歩くソウルの人たちが小さく写っています。お礼を言うマヤにリナは首を振り、道を選んだのは自分でも、その道を写真に残したのはマヤだと答えます。同じ一日を、リナは手帳のマスと名前で、マヤは写真の構図で、それぞれ違う形で持ち帰ります。

芳夷洞の夕食と、リナの手帳の最後のページ

バスに乗る直前、マヤがリナの袖をつかみます。「イーサンとルルと芳夷洞で夕飯を食べることになってるんだけど、リナも一緒にどう?」リナはすぐには答えず、手帳のいちばん後ろを開きます。七瀑池のベンチで書いた「芳夷洞」の横に小さな疑問符をつけ、その隣に「手帳を持っていく」と書き足します。それから手帳をマヤのほうへ向け、今できるいちばんいい返事はこれだと話します。

夕方のバスの窓際、小さな手帳の最後のページに置かれた二人の手。鉛筆を持つ手とページの隅を指す指、窓の外のぼやけた明かり。編集イメージ。
リナの手帳の最後のページ、「芳夷洞」の横の疑問符。

マヤは疑問符を見て笑います。まだ確かでない約束には、リナがいつも疑問符をつけることも、3回目の今日にはわかってきています。それでも「手帳を持っていく」の1行には、かなり本気が感じられます。手帳に絵を描くエンジニアと、手帳に色を集めるリナが同じテーブルにつく場面を、マヤはバスの窓に映る自分の顔を見ながら、もう一度思い浮かべます。

宿に戻ったマヤは「遠い山の青みがかった灰色」のフォルダを開き、展望台で撮った写真を1枚、リナに送ります。返事は短く、「次は南側の窓から見よう。南山と漢江も見えるんだって」とあります。観光地ではない公園へ連れていってほしいと頼んだ日に、マヤが持ち帰ったのは数枚の写真だけではありません。ソウルを囲む山々の名前を知り、もう一度ここへ来る理由が一つ増えました。

Common Mistakes — よくある失敗

  • 地下鉄駅から歩いて行こうとする

    北ソウル夢の森へは駅からバスに乗り換えます。東門へは147番、西門へは江北05番・1124番です。

  • 展望台が目的なのに東門から入る

    展望台とアートセンターは西門側です。ミアサゴリ駅から西門行きのバスに乗りましょう。

  • 月曜日に行く

    展望台もビジターセンターの展示館も、月曜休館です。

  • 10月の開館時間のつもりで11月に行く

    展望台は11月1日から17時に閉まります。3〜10月は18時閉館です。

  • 平日に月影池のスナックハウスを当てにする

    営業は土日・祝日の11:00〜18:00のみで、11〜2月は休業です。

FAQ — よくある質問

北ソウル夢の森は何時まで開いていますか?

公園は常時開放です。展望台は3〜10月10:00〜18:00、11〜2月10:00〜17:00、月曜休館です。

どの駅で降りればいいですか?

東門へは1号線 月渓駅1番出口、または6号線 トルゴジ駅3番出口から147番バスに乗ります。西門へは4号線 ミアサゴリ駅から江北05番・1124番バスです。

展望台からは何が見えますか?

高さ49.7mの展望台から、北に北漢山・道峰山・水落山、南に南山や漢江まで見渡せます。

昌寧尉宮斎舎はどんな場所ですか?

純祖の駙馬、昌寧尉金炳疇の斎舎で、国家登録文化遺産です。物語庭園にあり、周りには愛月亭、石橋、竹林があります。

七瀑池はどんな池ですか?

谷の水が大小7つの滝となって流れる池で、滝の上には9つの橋が架かっています。

車いすやベビーカーは借りられますか?

東門のビジターセンターで借りられます。授乳室もあります。

Recap — 出発前の30秒

  • 公園は常時開放。展望台は3〜10月10:00〜18:00、11〜2月10:00〜17:00、月曜休館。
  • 東門:月渓駅1番出口・トルゴジ駅3番出口 → 147番バス。
  • 西門(展望台・アートセンター):ミアサゴリ駅 → 江北05番・1124番バス。
  • 七瀑池(滝7つ・橋9つ)→ 月影池・青雲畓園 → 物語庭園の昌寧尉宮斎舎 → 高さ49.7mの展望台。
  • 平日はお菓子を用意。月影池のスナックハウスは土日・祝日のみ営業。

参考資料

確認した資料

AIキャラクターと一緒に歩くソウルの物語です。スポット情報は公開資料で確認し、写真はAIで制作した演出画像です。 AI活用について