SEOUL · HONGDAE

公演前夜、ヒナがひとりで歩く弘大「歩きたい通り」のバスキングゾーン

弘大入口駅8・9番出口から500m、4つのゾーンと60dBのルール、出かける前に見る公演予定表

1か月ぶりにソウルへ来たヒナは、公演前夜を空けていた。公演の宣伝に携わる仕事柄、弘大「歩きたい通り」のバスキングゾーンがどう動いているのか、ひとりで歩いて見てみたかった。

店の明かりと街灯が照らす夜の細い通りで、半円形に集まった観客の端に立ち、スマートフォンを脇に下げてつま先立ちで遠くのぼやけたダンス公演を見るヒナ。編集イメージ。

先月の約束どおり、ヒナがソウルに戻ってきます。パスポートをなくして日本大使館の領事部へ行ったあの週末、ノアには「来月も公演を見に来る」と話していました。今回は金曜午後の便で到着し、土曜の夜に公演を見て、日曜の夜に帰る予定です。空港から宿へ向かう間、バッグのファスナーポケットを2度も開けて、パスポートがあるか確かめます。先月のことを、手がまだ覚えています。

小さな宿の部屋で、無地の紺色のパスポートを片手に持ち、もう片方の手をバッグの開いたファスナーポケットに添えて、ほっとしたように笑うヒナ。編集イメージ。
宿に着いて、まずパスポートをもう一度確認。

公演前日の金曜の夜は、予定を入れずにおきました。翌日に備えて早めに休もうかとも考えましたが、弘大でどうしても見ておきたいものがあります。「歩きたい通り」のバスキングゾーンです。東京のマーケティング会社で公演の宣伝を担当するヒナは、会場の外、通りで人を集めるパフォーマンスがどう運営されているのか、ずっと気になっていました。公演会場のルールには詳しくても、路上のルールはまだ知りません。

ヒナの仕事は、公演が始まる前にその存在を知ってもらい、会場まで足を運んでもらうことです。ポスターの言葉を選び、グッズを公開する時期を決め、会場前の列がどこまで伸びるかをあらかじめ考えます。一方、ストリートライブでは、そうした準備を経ずに通りかかった人を数秒で立ち止まらせなくてはいけません。その数秒に何が起きているのか、自分の目で見てみたい。公演前夜を空けておいた本当の理由は、そこにあります。

出かける前、ヒナはノアに「着いたよ、今夜は弘大のバスキングゾーンをひとりで歩いてみるね、明日の昼に会おう」とメッセージを送ります。返ってきたのは地図の写真が1枚。望遠漢江公園のあたりに丸が描かれていて、そこが明日の待ち合わせ場所です。ヒナは写真をメモに貼り付け、その上に「公演前夜」と新しいタイトルをつけます。

この記事は、その金曜の夜の物語であり、弘大「歩きたい通り」でストリートライブを見たい人のための案内でもあります。弘大入口駅のどの出口から向かうか、バスキングゾーンがどこに何か所あり、どう運営されているかを、ヒナと一緒に見ていきます。その日の出演者を事前に調べる方法や、観客として気をつけたいことも順に確かめましょう。

The Cue

弘大「歩きたい通り」は、地下鉄2号線 弘大入口駅8・9番出口から弘益大学方面へ直進した先にある約500mの通りで、毎晩、全国から集まるストリートパフォーマーでにぎわいます。オウルマダン路107・111・127・143の前に4つのバスキングゾーンがあり、ゾーン1・2・4ではアンプを使う歌やダンス、ゾーン3ではアンプなしのパフォーマンスが行われます。出演者は麻浦区の予約システムで申し込み、抽選で決まり、アンプは2台まで、音量の基準は60dBです。その日の公演は、麻浦区のホームページにある「홍대 야외공연 일정표(弘大野外公演予定表)」で事前に確認できます。周囲には住宅や宿泊施設、店が並んでいるので、見るときも店の入口や歩行者の通り道をふさがないようにしましょう。

始める前に
  • どこ: 麻浦区オウルマダン路一帯。弘大入口駅8・9番出口から弘益大学方面へ直進。オウルマダン路107〜155-1、約500m。
  • バスキングゾーン: ゾーン1はオウルマダン路107前、ゾーン2は111前、ゾーン3は127前、ゾーン4は143前。ゾーン1・2・4はアンプを使う公演(歌・ダンス)、ゾーン3はアンプなしの公演(しっとりした歌・マジック・パントマイム・楽器演奏)。
  • ほかのステージ: 広場ステージ「광장무대」(オウルマダン路132)・旅行ステージ「여행무대」(オウルマダン路144、観光案内所の上)・AK&バスキングゾーン(弘大入口駅4番出口前)。
  • 出演ルール: 毎月申し込み・抽選。1人につき月最大6回。アンプ2台まで・60dB。出演者が別途設置する照明は禁止。公演1時間50分+片付け10分。
  • 今日の公演: 麻浦区文化観光ホームページの「홍대 야외공연 일정표」。
  • 休憩・トイレ: 弘益大学から道を渡ったところにある弘益文化公園(홍익문화공원)。ベンチ・トイレ・小さなステージあり。
  • 問い合わせ: 麻浦区観光政策課 02-3153-8673。

8・9番出口から弘益大学方面へ

20:00、ヒナは弘大入口駅9番出口に出ます。階段から人がぎっしりで、1段ずつゆっくり上がるしかありません。9番出口は特に混雑が激しく、向かい側に8-1番出口を新設する計画が、2028年を目標に進んでいます。現在、「歩きたい通り」へ向かう出口は8番と9番で、地上に出たら弘益大学方面へまっすぐ歩けば大丈夫です。ヒナはメモに「次は8番出口から」と書き留めます。

ホンデイック駅8番出口周辺の Google マップ。赤いピンが案内する出口を示しています。
ホンデイック駅8番出口 · Google マップで開く

歩く前に、もう一つ調べておいたことがあります。「歩きたい通り」は、レッドロードという、もっと長い道の一部です。オウルマダン路や「歩きたい通り」、唐人里交差点など、いくつもの名前で呼ばれていた通りをまとめた名称がレッドロードで、弘大入口駅から上水駅まで約2km、赤い塗料で塗られた道が曲線を描いて続きます。今夜はバスキングゾーンのある500mだけを、ゆっくり見るつもりです。全体を歩くのは、来月の宿題にしておきます。

夜の混雑した地下鉄出口を出て、ぼやけた通行人の間を明るい細い通りへ歩き始めるヒナの後ろ姿。編集イメージ。
混み合う出口を出て、弘益大学の方へ。

「歩きたい通り」は、ソウル市が2016年10月から2017年7月にかけて、オウルマダン路107番地から155-1番地までの約500mに整備した通りです。大通りというより、「小さな道」と呼ぶのがしっくりくる幅です。その両側に店が続き、道にはバスキングゾーンやステージが並んでいます。ヒナが思い浮かべるのは、公演会場のロビー。公演を待つ人、通り過ぎる人、店に入る人が、同じ空間に交ざっているところが似ています。

歩き始めると、さっそく遠くから歌声が聞こえてきます。この通りは毎晩、全国から集まるストリートパフォーマーでにぎわいます。木製ステージや屋外広場の近くには、仕事帰りの人がよく訪れる飲み屋や焼肉店が集まり、金曜の夜とあって一段と混雑しています。公演の音に店の音楽、人の笑い声が重なるなか、歌1曲で足を止めてもらうのはどれほど難しいだろう、とヒナは考えます。

4つのバスキングゾーン、アンプあり・なしの違い

ヒナは出発前に、麻浦区のお知らせを読んでおきました。「歩きたい通り」のバスキングゾーンは4か所です。ゾーン1はオウルマダン路107前、ゾーン2は111前、ゾーン3は127前、ゾーン4は143前にあります。ゾーンごとに、行えるパフォーマンスも違います。ゾーン1・2・4では歌やダンスなどアンプを使う公演、ゾーン3ではしっとりした歌やマジック、パントマイム、楽器演奏など、アンプを使わない公演だけが行われます。

ピンクのネイルをしたヒナの両手と、小さなキーホルダーが付いたスマートフォンの接写。端末の背面がこちらを向き、背景にはぼやけた夜の明かりと人々。編集イメージ。
四つのバスキングゾーンの位置を確認。

最初に出会うのは、ゾーン1のダンスです。アンプから流れる音楽に合わせて3人が踊り、その前には観客が半円を描いて立っています。ヒナは踊りを見るより先に音に耳を澄ませますが、気分の上がる曲なのに、思ったほど大きな音ではありません。出演者が使えるアンプは2台までで、台数にかかわらず音量の基準は60dB、超えると公演が取り消される場合があります。会場の音響とはまるで違う条件のなかで、路上の公演は成り立っているのだと感じます。

半円形に並ぶ観客の後ろで、つま先立ちで楽しそうに公演を見るヒナの斜め横顔と、遠くでぼやけて見える三人のダンサー。編集イメージ。
ゾーン1のダンス公演を見るためにつま先立ち。

少し先のゾーン3まで来ると、雰囲気ががらりと変わります。アンプを使わずギター1本で歌う人がいて、観客はそれぞれ一歩近づいて立っています。音が小さいぶん、周りも自然と静かになり、店の音楽が聞こえる通りの途中なのに、その前だけ空気が違います。ヒナはここでようやく、ゾーンを分けている理由がわかった気がします。同じ通りで大きな音と小さな音が互いをかき消さないよう、あらかじめ場所が分けられています。

ギターの演奏が終わると、同じゾーン3でマジックが続きます。出演者は何も言わず、コイン1枚を手の中で動かし、観客は息をひそめて指先を見つめています。アンプがないので、小さな手の動きに観客が漏らす短い声まで、そのまま聞こえます。公演会場では聞こえなかった音が、ここではパフォーマンスの一部になっていることに、ヒナは驚きます。パントマイムや楽器演奏も行われるので、静かな公演が好きなら、ゾーン3で少し長めに立ち止まるのもよさそうです。

出演は抽選で決定、申し込みと公演のルール

ヒナがいちばん知りたかったのは、誰が、どうやってここに立つのかということです。麻浦区は2026年8月末のお知らせで、事前登録制を廃止し、毎月申し込みを受けて抽選する方式に変えました。1次申し込みは毎月10〜16日、麻浦区文化観光ホームページの予約システムで、2時間単位の枠を選んで行います。受付期間が終わると、一括で抽選されます。遵守事項に違反していなければ誰でも申し込めますが、公演ジャンルと計画書の記入が必要です。

夜の通りの端の壁にもたれ、スマートフォンを集中して見るヒナ。背後には公演場所の柔らかな明かり。編集イメージ。
通りの端で、公演者のルールをメモ。

ヒナはこの仕組みが気に入ります。1人が出演できるのは月最大6回、平日4回と週末2回までなので、同じ人が毎日同じ場所を占め続けないようになっています。公演は1時間50分で、次の出演者のために枠の終了10分前には片付けを行い、出演者が別途設置する照明はすべて禁止されています。ヒナは「月6回」「1時間50分+10分」「照明なし」とメモし、その横に小さく「公平」と書き添えます。宣伝に携わる人にとって、「みんなに機会が回ってくるステージ」は、なかなかよい話の種です。

1次申し込みで埋まらなかった枠は、毎月25〜27日に2次申し込みを受け付けます。ヒナはこの部分を読みながら、公演チケットの追加販売を思い浮かべます。最初の機会を逃した人にも、もう一度チャンスがあるわけです。申し込み資格や日程は出演者向けの情報ですが、観客にも関係があります。同じ場所に毎日違う人が立てる仕組みなら、弘大を訪れるたびに別の公演に出会えそうだからです。

照明を禁止するルールは、歩いているとすぐに目に入ります。出演者は照明を立てず、街灯や店の明かりの下でパフォーマンスをしています。会場のようにステージだけを明るく照らす光がないので、観客も出演者も同じ明かりの下に立っています。ヒナには、そのほうがストリートライブらしい光景に見えます。周囲は人が暮らす住宅地であり、店が集まる場所でもあるため、大きすぎる音や強い照明で近隣に迷惑をかけないことが、このルールの理由です。

ルールに違反した公演への対応も、はっきりしています。承認されていない公演を勝手に行うと、その場で中止されます。ヒナはその一文を、出演者を締め出すためではなく、この通りで公演を続けていくためのものと受け取ります。住民や店への迷惑が理由でストリートライブがなくなれば、出演者も観客も居場所を失うからです。今夜見た公演はどれも音量や場所のルールを守っていて、そのためか、通り全体も思っていたより整って見えます。

今日の出演者は、公演予定表で確認

ゾーン3の歌が終わったところで、ヒナは一つ確認します。抽選結果は個別には通知されず、ホームページの野外公演場利用申請画面と「홍대 야외공연 일정표」で、自分で確認する仕組みです。出演者向けの案内ですが、見に行く人にも役立ちます。その日、どのゾーンでどんなジャンルの公演があるかを見ておけば、通りで音だけを頼りに探し回らずに済みます。

スマートフォンから顔を上げて公演の方を見ながらほほえむヒナと、遠くでぼやけて見えるギター奏者、その近くに座る数人の観客。編集イメージ。
ゾーン3のギターと、今日の公演予定表。

公演を見に通う人らしく、ヒナはこの情報をメモのいちばん上へ移します。日本から公演を見に来るときも、最初に確認するのは出演者とタイムテーブルです。「路上の公演にも時間割がある」と書くと、「歩きたい通り」は偶然出会う公演だけでなく、予定を調べて目当ての公演を見に来られる場所なのだとわかります。ただし予定表が埋まるのは出演者が抽選で決まったあとです。出かける前日か当日に確認しておくとよいでしょう。

ほかのステージの場所も、メモしてあります。「歩きたい通り」には4つのゾーンのほかに、オウルマダン路132の広場ステージと、144の観光案内所の上にある旅行ステージがあり、弘大入口駅4番出口前にはAK&バスキングゾーンもあります。音を頼りに歩くと、どのステージから聞こえるのか迷いがちですが、場所がわかっていると通りの様子をつかみやすくなります。ヒナは地図のステージの位置に星印をつけ、明日ノアに見せようと考えます。

旅行ステージが観光案内所の上にあることも、ヒナには面白く感じられます。道を尋ねる旅行者と、公演を見る観客が、同じ建物の前に集まるからです。初めて弘大に来て、どこから歩けばよいか迷うなら、ステージと案内所が一緒にある場所を出発点にしてもよさそうです。地図を見ているうちに、4つのゾーンと2つのステージが、すべてオウルマダン路という1本の道に、番地順に並んでいることに気づきます。番地をたどって歩けば、どの公演の前も通れます。

観客が気をつけたい、立つ場所と周囲の暮らし

歩きながらヒナがいちばん気にしているのは、自分の立つ場所です。出演者には、観客が店の入口をふさいだり、歩行を妨げたりしないよう誘導するルールがあります。出演者に課されたルールでも、観客が最初から気をつけていれば、そのぶん公演に集中してもらえます。ダンスを見ていたヒナは、店のドアの前に立っていることに気づき、入ろうとする人を見て、さっと横へよけます。

暖かな明かりが漏れる店の入口で、入ろうとする人の後ろ姿を見て、軽くお辞儀をしながら横へよけるヒナ。編集イメージ。
店に入る人のために、一歩横へ。

それからは、公演を見るたびに、まず立つ場所を選びます。店の入口を空け、道の真ん中を避けて端に寄り、後ろから来る人が通れる隙間を残します。「歩きたい通り」は名前のとおり歩く道でもあり、公演を見る人と通り過ぎる人が、同じ道を使っています。金曜の夜のように混むときほど、観客が半歩ずつよけるだけで、ずっと通りやすくなります。ヒナには、会場で「後ろの人の視界を遮らない」ことと、同じ種類の約束に思えます。

周囲に住宅や宿泊施設があることも、歩いていると実感します。道沿いの建物の上階には窓の明かりがともり、キャリーケースを引く旅行者が、公演と公演の間を抜けて宿へ向かいます。出演者にルールの遵守を繰り返し求めるのは、ここが誰かにとって、毎日帰ってくる家の前でもあるからです。ヒナは拍手のときも声を上げず、手を大きくたたきます。

もちろん、通りが静まり返っているわけではありません。ダンスの前では観客がリズムに合わせて手をたたき、歌が終わるたびに拍手が起こりますが、その音が通り全体を覆うほどではありません。会場でペンライトを振る自分を思い浮かべながら、同じ「応援」でも、場所に合わせて大きさを変えるのはファンの役目だとヒナは考えます。会場では思いきり、路上では近隣の人を思いながら。メモに「応援の大きさ」と書き足します。

弘益文化公園のベンチでひと休み

1時間ほど歩くと、少し脚が痛くなってきます。ヒナは弘益大学から道を渡ったところにある、弘益文化公園へ向かいます。ベンチとトイレ、小さなステージがある、街なかのこぢんまりした休憩場所です。「歩きたい通り」の途中で休みたくなったときや、トイレが必要なときのために覚えておくと助かります。ヒナはベンチに座って靴ひもを結び直し、メモを最初から読み返します。

夜の小さな公園のベンチに座り、アンクルブーツのひもを結ぶヒナ。隣にはバッグがあり、公園の街灯とぼやけた人々が見える。編集イメージ。
弘益文化公園のベンチで靴ひもを結び直す。

メモには出口の番号、ゾーンの番号と公演の種類、出演者のルール、予定表、そして「入口を空ける」と並んでいます。明日の会場でも同じ癖が出そうだと、ヒナは笑います。公演前夜に路上で公演の勉強をしているなんて、会社の同僚に知られたら仕事中毒だとからかわれそうです。それでも、好きなものを違う角度からじっくり見るのが、ヒナなりの休み方です。

公園の片隅にある小さなステージは空いています。今夜は人々がベンチで休んだり、スマートフォンを見たりしているだけです。「歩きたい通り」の音が遠くからかすかに届き、少し離れるだけで、こんなに静かになるのかとヒナは驚きます。1時間以上、公演の音の中を歩いた耳も、ここでひと休みできます。

ベンチから、ヒナはノアにもう一度メッセージを送ります。「ゾーン3のギターがいちばんよかった、音が小さいから、みんな近くまで寄っていくんだね」と書くと、「明日の川沿いもそうだよ、大きな音はしないけど、みんな長く座ってる」と返ってきます。どういうことなのかは明日行けばわかるだろうと思いながら、ノアが送ってくれた地図の丸を、もう一度確かめます。

出演者の交代を見て、8番出口へ戻る

宿に戻る前に、ヒナはもう一度「歩きたい通り」をゆっくり歩きます。最初は聞こえる音にあちこち顔を向けていましたが、2度目はゾーンの番号を一つずつ確かめながら進みます。ゾーン1のダンスは、すでに次の出演者に替わっています。公演1時間50分に片付け10分、メモした数字が、目の前でそのまま動いています。

明かりの続く夜の通りを歩きながら顔を横に向けるヒナの穏やかな横顔と、遠くでぼやけて見える公演者たち。編集イメージ。
二度目はゾーンの番号を一つずつ確かめながら。

出演者が交代する瞬間も、ヒナには興味深く映ります。前の出演者が機材を片付ける横で次の出演者が待ち、観客も何人かは去り、何人かは残って次を待っています。会場のように幕が下りて上がるわけではなくても、路上には路上の場面転換があります。この様子は、明日ノアに話したいと思います。道を描くノアなら、人が集まり、また散っていく流れも好きそうです。

今夜、ヒナは出演者に一度も話しかけていません。サインや一緒の写真を頼むこともなく、ひとりの観客として立ち、見て、拍手をして、次のゾーンへ歩いていきます。会場ではいつも「ファン」でいるヒナにとって、この距離感はかえって新鮮です。好きな出演者を追いかけるのではなく、初めて見る人の歌を1曲、その場で聴いて離れる。そんな見方が、ソウルの金曜の夜によく合う気がします。

8番出口へ向かいながら、ヒナは「公演前夜」のメモに「路上にも時間割があり、立つ場所がある」と書き加えます。明日の夜は会場のタイムテーブルに従いますが、その前に昼間は、ノアが地図に描いた丸へ向かわなくてはいけません。先月はノアに道を教えてもらったので、今回はヒナが公演会場への行き方を案内する約束もあります。

宿への道で、明日ノアに話すことを順番に整理します。バスキングゾーンが4つあること、アンプありとなしで場所が分かれていること、出演者が抽選で決まること、そしてゾーン3のギターの音。道を描くノアには、ゾーン番号と番地を地図に書いて見せたら喜んでもらえそうです。ヒナは「ノアへ — ゾーンの地図」とメモし、横に小さな星印をつけます。

夜の地下鉄出口の階段上で、スマートフォンを見下ろしてほほえむヒナ。端末の背面と、文字のない出口の屋根が見える。編集イメージ。
8番出口前で、明日の待ち合わせ場所をもう一度。

宿に戻ると、バッグのファスナーポケットをもう一度開けます。パスポートはちゃんとあり、その隣には明日の公演チケットが入ったスマートフォンもあります。先月は「帰り道」というメモを作り、今月は「公演前夜」というメモができました。同じソウルなのに、1か月でタイトルがこんなに変わったことが、少しおかしく、少しうれしくなります。

眠る前、ヒナはノアの地図の写真をもう一度開きます。望遠漢江公園のあたりの丸の横に、小さく「나들목」と書いてあるのが見えます。意味は明日になればわかるだろうと思い、その言葉を「公演前夜」の最後の行に書き写します。明日は昼に川沿い、夜は公演です。ソウルで過ごす1日がそんな2つの予定に分かれていることに、もう心が弾みます。

Common Mistakes — よくある失敗

  • 9番出口の階段で急ぐ

    9番出口は特に混み合います。8番出口から出ても、同じ弘益大学方面へ歩けば大丈夫です。

  • 音だけを頼りに歩く

    バスキングゾーンはオウルマダン路107・111・127・143前の4か所で、広場ステージ(132)と旅行ステージ(144)もあります。場所を把握しておくと迷いにくくなります。

  • 偶然公演に出会うのを待つ

    麻浦区の「홍대 야외공연 일정표」で、その日の公演を事前に確認できます。

  • 店の入口の前で見る

    店の入口と歩行者の通り道は空けておきましょう。周囲には住宅や宿泊施設、店が並んでいます。

  • 静かな公演の前で大声で話す

    ゾーン3は、アンプを使わない歌やマジック、パントマイム、楽器演奏のための場所です。

  • トイレを探して歩き回る

    弘益大学から道を渡ったところの弘益文化公園に、ベンチとトイレがあります。

FAQ — よくある質問

弘大「歩きたい通り」へはどう行きますか?

地下鉄2号線 弘大入口駅8・9番出口から、弘益大学方面へ直進します。オウルマダン路107〜155-1の約500mです。

バスキングゾーンは何か所ありますか?

4か所です。ゾーン1はオウルマダン路107前、ゾーン2は111前、ゾーン3は127前、ゾーン4は143前。ゾーン1・2・4はアンプあり、ゾーン3はアンプなしの公演です。

今日の出演者はどこで調べられますか?

麻浦区文化観光ホームページの「홍대 야외공연 일정표」で確認できます。

公演の音量はどのくらいですか?

アンプは2台まで、音量の基準は60dBです。基準を超えると、公演が取り消される場合があります。

誰でも出演できますか?

遵守事項に違反していなければ、誰でも毎月10〜16日に麻浦区の予約システムで申し込めます。出演者は抽選で決まり、1人につき月最大6回(平日4回・週末2回)です。

休憩場所やトイレはありますか?

弘益大学から道を渡ったところの弘益文化公園に、ベンチ・トイレ・小さなステージがあります。

問い合わせ先はどこですか?

麻浦区観光政策課 02-3153-8673です。

Recap — 出発前の30秒

  • 弘大入口駅8・9番出口 → 弘益大学方面へ直進。9番出口は混雑し、8番出口からも同じ方向へ向かえます。
  • バスキングゾーンは107・111・127・143前。1・2・4はアンプあり、3はアンプなし。広場ステージは132、旅行ステージは144。
  • その日の公演は、麻浦区の「홍대 야외공연 일정표」で事前に確認。
  • 店の入口と歩行者の通り道を空け、静かな公演の前では声を抑える。
  • 休憩とトイレは弘益文化公園へ。

参考資料

確認した資料

AIキャラクターと一緒に歩くソウルの物語です。スポット情報は公開資料で確認し、写真はAIで制作した演出画像です。 AI活用について